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恒常破壊症候群

こちらも、かつて2chエロパロ板のリョナスレに投稿したモノに加筆修正したものです。

簡易人物紹介
元ネタ……K○NÅMIの【ポップソミュージック】
ジュディ…アメリカ西海岸育ちのダンサー。ダンス大好き!
紫…………歌舞伎町の歌姫。誰もが虜になりそな妖艶な魅力があるらしい。
六…………侍で書道家。剣と言の極致を究めんとする銃刀法違反侍。
MZD……六本木でアクマと呼ばれた男。ポップン界の神。リミックス等で大活躍。

今回は、六と紫が幼馴染みになってる上に非常に黒かったり、相変わらずMZDが黒幕だったりします。
時系列的にはポップン11な想定です。



大丈夫、という方のみレッツ ロック ベイビィ













































































































































































































恒常破壊症候群

「よお、ジュディ!元気だったかー?」
「あら、MZD!!!」
 ボーダーシャツを着込んだ少年が、春らしいピンクの服を着込んだ女性に声をかける。話しかけられた女は、その青い目を嬉そうに細め、片手をあげてみせた。
 ここは、第11回目のポップンパーティ会場。王冠をかぶった女帝鶏や、真っ赤なお鼻のトナカイサンタ。果ては白馬にまたがる狼頭巾に至るまで……。相も変わらず濃い連中が集まっている。
 その中では、腕出しヘソ出しの彼女や巨大な影を従える少年など、キャラが薄い方に入るだろう。

「そういや、この前俺がリミックスした【ナイトアウト】はどーよ?」
「ああ、アレ?元曲の良さが生かされてない気がして、あんまり好きじゃないわねー」
「…そっか。そりゃあ悪いコトしちまったなぁ」
「気にしないで、MZD。また機会があったらREMIXしてね!」

 にぃっと笑った少年に向かい、女は微かに苦笑を浮かべながらも無邪気に言い放った。好き・嫌いをはっきりと口にするのは彼女の長所でもある。だがそれは、自身の製作物にケチをつけられるのを極端に嫌うタイプの人間の前では、途端に爆弾を抱えた短所となりえるのだ。
 …………そう……この、MZDという気まぐれで無邪気で残酷な神の前では…………。
 自身の言葉に、サングラスの奥のMZDの瞳が一瞬ほの暗い光を帯びたことにも気づかずに、すまなさそうに笑いながら頭を掻くMZDの背中を軽く叩くいたジュディが舞台に向かって走っていく。
 そろそろ、彼女の出番が近づいているのだろう。
 走り去るジュディの背中を眺め、創生の神はその顔に酷薄な笑みを浮かべる。

「……いやー。まさか、俺のリミックスを否定する馬鹿がいるとは思わなかったぜ……」

 尤も、その小さな囁き声は、傍らの影にしか聞こえなかったようだけれども……。









「おや……誰かと思えば神サンかい。随分と景気の悪そうな顔をしてるじゃあないか」
「よぉ、紫じゃねぇか!ポップン9のリミックス以来か?」
「あン時は世話になったねぇ。中々面白いリミックスだったよ。『元の曲より良いんじゃないか』って、ハニー兄さんも誉めてたくらいさ」
「いやー、歌舞伎町の歌姫に気に入ってもらえるとはな。リミックス冥利につきるぜ」

 低い忍び笑いと共に、揶揄するような声がMZDの後ろから聞こえてきた。振り返る唯一神の視界に映るものは、赤と黒。歌舞伎町の歌姫が幼馴染みを従えて、嫣然と微笑んでいるではないか。
 意外な人物たちの登場に、MZDは一瞬目を丸くする。
 だが、考えてみれば彼らがここにいるのも当然の話であろう。紫は【O‐EDOカヨウ】の発表があるし、六も六とて【裏ヒップロック】の発表があるのだ。
 ようやくそれに思い至ったMZDの前で、紫はころころと笑い声を上げる。彼女の様子から判断するに、お義理やお世辞ではなさそうだ。どうやら、彼のリミックスが相当お気に召したらしい。
 楽しげに笑う紫を眺め、MZDは満足したような笑みを浮かべた。
 ……と。
 照れたように微笑んで、頬を掻いていたMZDの瞳が、急に剣呑な光を帯びる。

「……なぁ……六…紫……お前、今暇か?」
「アタシらかい?そりゃあもう退屈してるさ」
「最近は面白いことがありゃしねぇからな」

 MZDの問いに、お互いに顔を見合わせた六と紫が、軽く瞳を眇めてみせた。
 人の欲望が集まる歌舞伎町に生を受けながら、その生活が『退屈だ』などといえるのは歌舞伎町の女帝の庇護を受けた彼らの性格から来るものだろうか……。だが、当のMZDにとって、そんなコトはどうでも良いことである。
 今、彼が欲しているものは、自分の思惑に乗ってくれる『共犯者』なのだから……。

「そりゃあちょうど良かった。そんじゃ、ちょっくら手伝ってもらいてぇコトがあんだわ」

 退屈しきった罪深い子羊達に啓示を与えるべく、
 無邪気で無慈悲な全能の神は、その形の良い唇を笑みの形に吊り上げた……。










 それにしても、いったい何が起きたというのだろう。ついさっき、自分はあのスポットライトと歓声が支配するステージで歌っていたはずだ。興奮冷めやらぬ客席に手を振りながらステージを下りて………。

(……ああ…それからどうしたんだっけ………?)

 ……そうだ。楽屋に通じている暗い花道を一人で歩いていると、誰かの足音が聞こえてきて、振り返った瞬間に何か薬のようなものを嗅がされたのだ。
 それ以降の事は、生憎ともう覚えていない。だが、薬を嗅がされてどこかに運ばれるなど、コレはどう考えても尋常ではない。
 いったい誰が、何の目的があってこんな事をするのだろうか…?その事に思い至った途端、氷の塊を突っ込まれたかのように頭の中がスゥっと冷えていく。
 だが、どんどん活性化していく頭の中とは裏腹に、ジュディの身体はピクリとも動かなかった。
 否、動かせない……と言ったほうが良いだろう。体幹どころか指先すら動かせず、ジュディは唯一自由になる青い瞳を不安げに周囲に巡らせた。
 限られた視界に映るものは、古ぼけた木でできた見慣れぬ造形だ。
 どうやら『木造の建物の中にいるらしい』という事はわかったが、それだけがわかってもどうしようもない。
 足元の方からは腹の底に響くような重低音が、ゴトンゴトンとある一定のリズムを保って響いてきている。耳を澄ませば、建物の外のほうからは水が流れる音まで聞こえてきた。

(いったい何が起きてるの……!?)

 ジュディの不安が頂点に達したちょうどその時。
 壁だと思っていた羽目板が開き、薄暗い室内にさっと光が差し込んだ。背格好から判断するに、どうやら男と女のようだ。

「おや、目が覚めたのかい?案外薬の効きが悪かったみたいだねぇ」
「あ、あなた……紫…………それに六も!?わ、私をどうしようっていうの!?何の目的でこんなこと…………きゃあっっっ!」
「煩いねぇ……いちいち喧しく騒ぐんじゃないよ」
「ぎゃっっ……ぐぶっっっ……っっ!ぐふっっっ……!!」
「……極論しちまうならな、目的なんざ俺達にはねぇんだよ」

 低い忍び笑いと共に紡がれた女の声は、ジュディが良く知る人物のものであった。揶揄するような響きを持った二人の笑い声が、狭い屋内に反響する。
 そんな二人の表情は、逆光のためかジュディにはうかがい知る事ができない。表情が見えないことが、余計にジュディの恐怖を煽り、その声を震わせる。
 震える身体を叱咤して声を荒げるジュディの腹を、下駄を履いた紫の足が踏みつけた。グリグリと捩じ込むように紫がジュディの腹を踏み躙れば、そのたびにジュディの口からは蛙が潰されたときのような濁った悲鳴が上がる。白く柔らかな腹に、黒塗りの下駄が赤い跡を作っていった。

「も……目的がないって…………な、何の目的もなく私を拘束したの!?」
「何だぁ?そんなに必要なのかよ、『目的』とやらがよ?」
「まぁ、敢えて言うなら『退屈凌ぎ』を兼ねた『ある人からの依頼』って所かねぇ」

 紫の足に踏みつけられたまま、息も絶え絶えにジュディが言葉を紡ぐ。
 だが、それに対する返答は、ジュディの想像を超えたものであった。
 思わず言葉を失ったジュディの腹からようやく紫の足がどかされ、それに呼応するかのように、六が近くの蔀窓を開けた。
 日の光が差し込んできたことで、ようやくジュディにも彼らの顔が見えるようになった。
 だが、それはジュディにとってあまり幸せな事ではなかったかもしれない。
 何故なら、彼女はこれから自分を蹂躙しようとする羊の皮を被った獣を目の当たりにすることになるのだから。

「い、イヤよ……何するの…………止めて……止めてよぉ……!!」
「なぁに……そんなに怖がることはないよ……」
「人間は必ず死ぬモンだからな。お前の場合は、それがちぃとばかし早かったってだけの話さ」

 ガタガタと震えるジュディの傍らに膝を崩して座った紫が、紅を塗った唇を笑みの形に吊り上げると、ジュディの頬を宥めるように撫でる。
 だが、そんな彼女の瞳の奥で燃えるのは、とぐろを巻いて渦巻く漆黒の狂気だ。青い瞳いっぱいに涙を溜めるジュディを眺め、六と紫は低い忍び笑いをもらす。
 ……と……。それまで優しげにジュディの髪を撫で梳いていた紫の手が、彼女の頭から離された。自由になった紫の手が、自身の帯に結ばれている紫苑色の帯紐に伸ばされる。星の形をした帯止めを外すと、存外に柔らかなソレを紫の手が幾度かなめすように扱きあげた。

「おい……別にこんなコトまでしてやらなくても良いんじゃねぇか?」
「何言ってんだい、六…………簡単に死なれちゃあ面白くないだろう…?」
「え……あ……いや……いやめて……やめて…………うぎゃぁっっっっ!!!!」

 ぐったりと動かぬジュディの腕を、仏頂面をした六の手が掴んだ。そんな六に宥めるような笑みを向け、紫が手にした帯紐をジュディの二の腕の半ば辺りに巻きつける。
 楽しそうな紫とは対照的に、ジュディは今にも卒倒しそうなほどに青褪めている。
 カチカチと恐怖に歯を鳴らしながら、青い瞳を目いっぱい見開いて……意図の掴めぬ紫の行動に、ジュディが微かに抵抗を試みようとしたその途端。紫の腕が、ジュディの腕に巻きついた細い紐を一気に締め上げた。
 肉が引き攣れ血管が締め付けられる痛みに、ジュディが口の端から唾液の泡を吹きながら暴れ出した。
 水揚げされた魚のようにのたうち回るジュディの身体を押さえるのは六の役目だ。
 ジュディより大きい体格を生かし、彼女の身体を上からのしかかるようにして押さえつけている。幼馴染みが、幾分でも作業をしやすいように……。
 それでも尚、ジタバタと暴れるジュディを嗜めながら、紫は容赦なく帯紐を締め上げた。血行を止められたジュディの右腕が、むくんだように腫れあがっていく。これ以上締められない、という所になって、ようやく紫が帯紐から手を離した。
 よほど強い力で締めていたのだろう。紫の白い額には、真珠のような汗が浮かんでいた。

「ぎゃっっ!!やめ……やめてっっ!!千切れる……千切れるぅぅぅぅぅっっっ!!!」
「何だい……随分だらしないねぇ………こん位で千切れやしないよ」
「嘆いてても仕方ねぇだろ。押さえててやるから、もう片方もやっちまえよ」
「いや……いやあ゛あ゛っっ!!もうやめて!!やめてよぉっっ!!」

 六に押さえつけられながら、ジュディはボロボロと涙を零している。だが、彼女を押さえつけている二人には、彼女の様子に同情する様子は少しも見られない。
 むしろ、そんな彼女の様相に、嗜虐心をそそられている様に思えてしまう。先ほどと同様に左の二の腕の真ん中辺りを縛り上げた紫が、ようやくジュディの上から身体をどかした。
 完全に鬱血した腕は、脈動のたびに鋭い痛みをジュディの脳髄に到達させている。

「さて、と。準備もできたようだし、そろそろ始めることにしようかねぇ」
「やれやれ……やっと本番か……これじゃ先が思いやられんぜ…」
「ぎゃっっ!!!やめて!!離してぇぇぇぇ!!!!いだい……いだいよぉ!!!」
「うるせえなぁ……ちったぁ黙ってらんねぇのかよ……!」

 涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら、ジュディが言葉を搾り出した。だが、そんな彼女の問いかけには答えずに、六がすっかり身体から力が抜けたジュディの腕を掴む。
 その途端……。
 締め上げられて鬱血した部分への刺激は、それがちょっとしたモノであっても大きな苦痛を与えることになる。
 ジュディの狂気染みた悲鳴を耳元で聞いてしまった六が、未だにジンジンする耳の痛みに眉をしかめ、彼女の頬を張った。
 居合い斬りを特技とする六の力で頬を張られ、踏ん張ることもできないジュディの身体が勢いよく吹っ飛んだ。
 派手な音を立てて戸板にぶつかったジュディが、ノロノロと頭を上げる。
 その可愛らしい顔は無残にも腫れあがり、唇の端からはダラダラと血が流れている。

「六……あんまり手荒な真似はするんじゃないよ。顔は綺麗にしておくように言ったろう?」
「あぁ…そういやそうだったな…………悪ぃ、紫……」
「…………まったく…。しょうのない男だねぇ……次からは気をつけておくれよ?」

 咎めるような紫の声に、我に返ったらしい六がばつが悪そうに肩を落とす。昔からカッとなると我を忘れる幼馴染みに苦笑を漏らし、紫はすすり泣くジュディの傍らに足を向けた。
 血と涙で汚れたジュディの顔をハンカチで拭きながら、紫はそっと六に目配せをする。
 その意図を察したのだろう。血反吐を吹き終えた紫の手を離れるのを待って、六は未だ力の入らないジュディの身体を部屋の真ん中にある台の上に縛り付けていく。

「いやっ……やめて!!………アナタ達はいったい何がしたいの!?」
「……前にも言ったけど、趣味と実益を兼ねた『暇つぶし』さね」
「お前が思ってる以上に世界は広くてよ。女が嬲られてる様子を見て興奮する連中ってのも確実にいるんだぜ」
「俗に言う『スナッフビデオ』ってモンかねぇ?意外と売れ筋は良いんだよ。暇を持て余した金持ちどもが、山のように金を積んでくれるだろうさ」

 クスクスと笑う紫と、作業を終えたらしい六。怯えきったジュディの視線の先には、部屋のあちこちに据え付けられた幾台ものカメラがあった。
 お互いに身体を寄せ合うようにして、六と紫はそれはもう楽しげに笑っている。
 だがジュディにしてみれば、さっき二人の口からでた言葉が頭から離れてくれないようだ。
 【スナッフビデオ】――所謂【殺人ビデオ】である。
 ジュディ自身、幾度かそんな噂を聞いたことがあったが、そんなものは他愛のない都市伝説の一つだとばかり思っていたのだ。まして、自分がその被写体になることなど、ジュディは考えたことすらなかった。
 だが。今まさに、ジュディの目の前にいる歌姫と侍によって、彼女の人生の最後になるであろう舞台の準備が進められている。
 当然と言うべきか何と言うべきか……彼女の衣服はすっかり剥ぎ取られ、今、彼女が身につけているものといえば、二の腕の中程と太腿の中程を紐でギチギチと縛り上げる縄紐だけだ。
 全裸で足を開かされ、秘部が丸見えになっている羞恥と、これから何をされるのかわからない恐怖で、彼女の顔は青くなったり赤くなったりと忙しない。

「そういや、お前は知らないだろうけど、ここは昔小さな町工場だったんだぜ」
「持ち主は借金を苦に首を括っちまったけど、まだまだ機械の類は現役でね。今日はこいつらに、久々に動いてもらうことにしようかねぇ……」

 青褪めるジュディの顔を覗き込んだ六が、にぃと笑いながら言い聞かせるように話しかける。それを受けて、金属台に寝かされたジュディの傍らに立つ紫も、微かに笑みを浮かべて金属台を撫でた。
 紫の指がいくつかのスイッチを押していけば、今まで薄暗い室内に鎮座していた金属の塊が、腹の底に響くような重低音と共に唸りを上げ始める。
 蒸気の上がる音と、ガシャンガシャンと何かを潰すような重低音と振動。巨大な杵のような金属柱が、下の臼のような台座とかち合った際の音だ。

「それじゃ、まずは腕から潰していこうかねぇ」
「安心しろよ。ショック死はしねぇように手は打っといてやるからな」
「少しでも長く鳴いてくれたほうが、映像にハクが出るからねぇ…苦痛を持続させて失神出来ないようにするための薬さね」

 機械の電源を落として笑う六の隣には、数本のマイクロシリンジと脱脂綿を持った紫が立っていた。
 身動きの取れぬジュディの首筋を脱脂綿で拭い、紫はマイクロシリンジの中身をジュディの首筋に少しずつ注入していく。
 手に持ったマイクロシリンジの全てを注入し終え、紫はニッコリと微笑んでやる。
 尤も、全ての作業が終わった後、ジュディとしては死んでいたほうがましだったと思うかもしれないが…。

「イヤッ!!やめて!!!やめてよっっ!!!!どうしてこんなことするの!?」
「何回も言ってるだろう?『暇つぶしを兼ねた依頼』だって」
「いい加減に覚悟決めろって。なぁに、まだ死ぬわけじゃねぇさ」

 身動きの取れぬ身体を芋虫のようにのた打ち回らせ、ジュディが必死で抵抗する。その一方で、その身体を台に縛り付けていく二人の顔には、それはもう楽しげな笑みが浮かんでいた。
 この二人にとっては、ジュディの……獲物の抵抗すら娯楽に変わるらしい。
 横に伸ばされていた腕を、万歳でもするかのように頭の上のほうに伸ばさせ、肘から下が臼に乗るように調整してやる。

「ま、こんなもんだろうね……六!準備はできたよ。スイッチ入れとくれ!」
「んじゃま、Show Timeってことで……」
「……いや…………いやぁ………………やめてぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 片手を上げて六に合図を送る紫の傍らで、ジュディが喉が裂けんばかりの悲鳴を上げる。
 だが、ジュディの周囲にいるこの二人は、その程度の悲鳴でやめてくれる様な相手ではないのだ。
 歌姫の合図に気付いた侍が、頬の肉皮を歪めるようにして笑いながら機械の電源を再び入れる。
 低い唸りと共に、ゆっくりと杵が持ち上がっていき……重力に従って200キロはあるであろう金属の塊が、ジュディの腕目がけて落下していった。

「おぎぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっ!!!!!!!!」

 まず感じたのは、途方もない衝撃。そして、間髪をいれずに激痛とも熱さともつかぬ感覚がジュディの脳髄をかき回していく。大きく開いた口から下を突き出して半ば白目を剥きながら、ジュディが濁った悲鳴を上げる。
 重さが中途半端なせいか、未だジュディの腕は原形を保っていた。だが今の衝撃で、確実に腕の骨は砕けてしまっただろう。
 見る見るうちに紫色に腫れあがるその腕に、息をつかせる間もなく第2撃めが打ち下ろされた。

「あぎゃっ!!!いぎゃあ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!」

 顔中を、汗と涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、ジュディが悲鳴を上げ続ける。
 先ほど注入された薬液が効いているのだろう。常人であれば意識を失いかねない激痛にもかかわらず、ジュディは意識を失うこともできないでいた。
 第3撃め第4撃めと、叫ぶジュディを休ませることなく金属柱が打ち下ろされる。
 次第に皮膚が裂け、粉々に砕けた白い骨と真っ赤な肉が、紫色の皮膚の切れ間から露出し始めた。
 だが、二の腕の半ばで血行をとめられているせいか、傷口からの出血は驚くほど少ない。
 そのうち、規則正しく打ち下ろされる金属柱に赤黒いモノが纏わりつきはじめた。それと同時に、ネチョネチョと言う粘着質な水音が混じり始める。臼と杵で餅のように搗かれ、肉餅と化したジュディの腕の肉が、金属柱に纏わりついているのだ。
 獲物の悲鳴と血の匂いに酔いながら、紫が陶酔したような笑みを浮かべている。

「いや゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛っっ!!ぎゃはあ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!!」
 半狂乱の態で叫ぶジュディを、六の腕に抱かれたままの紫が恍惚とした瞳で眺めている。
 彼女の傷口から溢れる血の匂いが、彼女の官能を刺激しているのだろう。その間も、金属柱は臼の中にあるジュディの骨と肉をベタリベタリと搗き捏ねていた。

「う゛でっ!あたしのうでがあ゛ぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!」

いったいどれだけの時間が過ぎたのだろうか。微かな振動と共に金属柱の動きが止まった。
 原型を留めぬ塊と化した腕をのたりのたりとくねらせ、ジュディが髪を振り乱して泣き喚いている。神経が焼き切れてしまっているのか、もう腕の痛みは感じない。ただ、心臓が脈打つたびにこらえ切れない熱さが身を焼くだけだ。
 荒い息をつくジュディの身体を、六がズルズルと引きずり出す。辛うじて皮一枚で二の腕に繋がっているジュディの肘先は、もはや肉ともいい難い赤黒い物体だ。

「おい、どうする、紫?もう切っちまうか?」
「放っておきな。何もしなくてもそのうち壊死するんじゃないかい?」

 すすり泣き、身を捩らせるジュディを押さえつけた六が紫を振り返る。そんな六に嫣然たる笑みを向けながら、紫が別の機械に足を向けた。
 紫が向かった四本の脚で支えられた鋼鉄の台の上には、巨大なローラー装置ががっしりと食らいついて聳えていた。
 その形状から見るに、間違いなくローラープレス機だろう。鋼鉄製のローラーの径は、1Mはくだらないように見えた。
 機械の傍らにある操作パネルを、紫の白い指先が弄っている。幾度かの試行錯誤のうちに、重々しい重低音を響かせながらローラーの位置が下がっていった。
 鉄板との距離は5~6cmというところだろうか。

「ま、あんまり下げすぎて故障されても困っちまうからねぇ…」

 操作パネルから指を離した紫が、クスクスと笑いながら六に目配せをする。
 その合図に気付いた侍が、暴れる気力もなくしたジュディを引き摺って、その鋼鉄製の台の上に仰向けに寝かせる。
 足先に触れるローラーの冷たさに、ジュディがふと我に返った。どうやら、彼女にも今回の道具がどう使われるのか見当がついたようだ。
 彼女から、足を奪おうとする歌姫と侍の計画に……。

「いやあっっ!!!足は……足だけはやめて!!!踊れなくなっちゃう!!!!」
「まあ良いじゃねェか。依頼人の要望が【肉体的にも精神的にも破壊してくれ】だったんだしよ」
「この方法だと、アンタの精神にも肉体にも、両方打撃が与えられそうだからねぇ」
「一挙両得、ってヤツだろ?」

 必死で懇願を繰り返すジュディの身体を金属台に固定しながら、六と紫はそれはもう楽しそうに笑いあっている。
 確かに、身体を動かすことが――踊ることを自分の天職としているジュディにとって、足を――アイデンティティを確立する要素を破壊されることは死にも勝る恐怖だろう。

「いや………………イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」

 ジュディの悲痛な叫びが、暗い室内に木魂したとき。紫の白い指先が、ローラーの作動ボタンをちょうど押していた。
 鈍い音を立てながら、ローラーは緩慢に……しかし、確実にジュディの足に近づいている。

「いや……やめて…………止めて!止めてよぉっっっ!!!」

 台の上に固定されたジュディが迫るローラーから逃げようともがくが、荒縄と革バンドでしっかりと身体を固定されてしまっていては逃げようがない。
 ぺたりと床につくように爪先を伸ばし、ジュディはローラーをやり過ごそうとする。だが、それで爪先は逃れられても、踵と足首はどうにもならない。

「いやっっ!ぎゃっっ!!ぐぎゃあ゛っっっっっ!!!!!」

 ローラーの通過に伴い、骨がきしむ鈍い音が伝わってくる。踵と足首の骨があっけなく粉砕された音だ。
 だが、激痛に身を捩るジュディの足元を、なおもローラーが進んでいった。
 ふくらはぎの筋肉を押しつぶし、骨を砕きながらゆっくりと……。
 ローラーが膝に近づくにつれ、ジュディの顔が苦痛と恐怖に歪んでいく。
 そして、次の瞬間。

「いぎゃあ゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっっっっっ!!!!!」

 ひときわ高いジュディの絶叫と、ゴキョッッという鈍い音が室内に響いた。
 ジュディの膝が破壊された音だ。

「がっっ!ぎゃっっ!!!あ゛じ……!!あ゛だじの゛あ゛じぃぃぃぃぃ!!!!!!」

 狂ったように泣き叫ぶジュディの腿の半ば辺りまでを潰し、ローラーはようやくその動きを止めた。
 紫の操作に従い鈍い響きと共に後退すると、元の位置でピタリと止まる。
 ローラーが通った後のジュディの足は、先ほどとは一風違った肉餅風の物体と化していた。平べったく5センチの厚さに伸ばされた、肉と骨の固まりに……。
 これでは、この足はもう二度と使い物にならないだろう。

「あ゛じ…………あ゛だじのあ゛じがぁぁぁぁぁぁぁ」

 理性を繋ぎとめていた精神の糸が、プツンと切れてしまったのだろう。
 単なる肉塊と化した自身の足を見たジュディが、涙と鼻水で汚れた顔に、狂ったような笑みを浮かべる。
 ヘラヘラと笑うジュディを台から引き下し、紫と六は顔を見合わせて笑い声を上げる。

「さぁて。後始末をしてから次のステージの用意をしねぇとな」
「腕っこきの医者も呼んでこなくちゃいけないし……やる事があって楽しいじゃないか」
「……ったく……おっかねぇ女だな、お前はよ……」

 狂ったジュディの笑い声と、明るい六と紫の笑い声が、血の匂いが充満する空気を震わせた。
 クスクス笑いながら自身にしなだれかかってくる紫を受け止め、六もまた楽しげな笑みを浮かべる。未だ笑い続ける紫の細い腰を、六が黙って抱き寄せた。
 むせ返るような血の香りの中、深く深く唇を重ね、退屈に倦んだ虐待者はひと時の快楽を追い続ける。生と死が隣り合わせの空間で獲物の悲鳴を肴にしながら……。


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プロフィール

みやうち

Author:みやうち
いあ!母なる森の黒山羊よ!
いあ!父なる混沌の媒介よ!
北狄の地に眠る、醜く蠢く肉の塊にして、のたうつ太い腕と、滑りにくい靴を好む短い脚、粘液を滴らせる大きな口を持つ。
それは、しわがれた低い声で、呪詛と歓喜を詠うであろう。

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